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イイダ ナオキ 飯田 直樹 文学部 人文学科 教授 |
■ 標題 明治期孤児院と財団法人弘済会の創設 |
■ 概要 1912年に創設された大阪初の総合的救済事業施設である財団法人弘済会(現大阪市立弘済院)は、従来大阪市の外郭団体として評価されてきた。しかし、本稿では、弘済会を警察社会事業の一種として把握するという立場から、弘済会の設立経緯について大阪市だけでなく、内務省(小河滋次郎)とそれに呼応する大阪府警察の動向にも着目して検討した。その結果、大阪市の弘済会設立に向けての動きは北の大火(1909年)後の義捐金をめぐる汚職事件・市長の長期不在によって中断するが、一方で1911年の済生勅語発布後、小河と警察関係者が弘済会設立に関与するようになり、それによって弘済会事業に部落対策という性格と保育事業という要素が加わることを明らかにした。あわせて本稿前半では、その収容者が弘済会に引き取られることになった堺愛育社など明治期孤児院における孤児養育実態についても検討し、最後に孤児個人にとっての弘済会創設の意味についても言及した。 単著 『大阪歴史博物館研究紀要』 大阪歴史博物館 19号 pp.1-15 2021/03 |
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