同朋大学 教員情報   
     


  モリムラ シンホウ
  森村 森鳳   文学部 人文学科   特別任用教授
■ 標題
  『教行信証』の語源を探る―慙愧と懺悔―
■ 概要
  仏教用語としての慙愧は、普通使われる「慙愧」と次元が異なる。人間の心を重層的な構造としてとらえる仏教説に、慙愧は深層的なものとして意味づけられている。慙愧はあくとして働いている人間の心を深いところに常に伴い、心につめに痛みを与え、不安を感じさせるように働く。慙愧は自我執着して、他者を対立者として見、貪欲、怨み、嫉妬などの心の働きの中で火宅大きく凍っていく心に痛みを与え、その心を悲しみ、自責、哀れみという方向に導き、人生感覚の転換を促す。慙愧は仏教の救済のプロセスの中で欠かすことのできないものである。しかし、現実には、人間の計らいは功利的な打算によって慙愧の働きを変質している。本論は、慙愧が人間の心の深層に与える鋭意今日を仏教の背景において探り、さらに『教行信証』の慙愧と懺悔という言葉の源を探り、慙愧が人間救済においての意味を追求する。
   単著   同朋大学論叢   pp.1-22   2001/12


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