同朋大学 教員情報   
     


  キタジマ ノブコ
  北島 信子   社会福祉学部 社会福祉学科   教授
■ 標題
  野村芳兵衛の生活指導論における宗教と科学
―協働自治による「生活訓練」を中心に―
■ 概要
  本研究において、野村芳兵衛の生活指導論における宗教と科学の関係を明らかにすることを目的とする。野村は「生活訓練」にあたって、「観念的生活指導」から「科学的生活訓練」へと自身の生活指導を発展させていった。野村の述べる「科学」とは個別の科学主義ではなく、野村が生来もってきた浄土真宗(親鸞)の信仰が基底にある科学である。このことは宗教と科学を同一化したということではなく、異なるものが互いに関わり合い、深まっていくことを示している。本研究では、同じく信仰を基底に生活指導論を提起した宮坂哲文の宗教理解を検討した。野村、宮坂に共通しているのは、宗教と教育を別個のものとしてとらえておらず、信仰を得ようとする「自己中心的自己」を超え、信仰と相互に関連し合う一体のものとして教育をとらえることであった。また「主観」ではなく「客観」をめざした理論や実践を標榜し、そこにおける「客観」とは、他者を通して自己を知ることであり、自己をも含み込んだ客観的世界を意味する。本研究を通して宗教とは自己の世界に閉ざされたものでなく、自分とは異なる他者から学び合うものであり、「他者化」につながるということが明らかになった。
   単著   教育方法学研究   日本教育方法学会紀要   pp.97-107   2020/03


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