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  キタジマ ノブコ
  北島 信子   社会福祉学部 社会福祉学科   教授
■ 標題
  宮坂哲文における宗教と教育―『禅における人間形成』を中心に―
■ 概要
  本稿では、宮坂哲文(1918-1965)が『禅における人間形成』で明らかにした、信仰が基底にある禅林の集団教育の理論と、のちの彼の生活指導論とがどのように関連しているかについて、とりわけ禅林の集団生活における規則・規範であった「永平清規」と師弟関係を中心に検討し、明らかにすることを目的とする。宮坂は禅林社会を生活共同体としてとらえており、そこにおける集団の役割は信仰を深めていく上で非常に重要な教育形態であった。宮坂のとらえた禅林社会の集団教育について、具体的には以下の2点が明らかになった。1点目は禅林教育における「永平清規」は修行生活の形式としての規則、規範を越えた主体的なものとしてとらえられていたこと、2点目は衆僧の指導者と衆僧の師弟関係は平等な関係であったことである。この2点はともに、深い信仰が基底にあるからこそ成り立つのであり、そこに「坐禅辨道」という行いそのものが仏道に通ずるという道元の教義があるといえる。集団教育の意義は、深い信仰に基づくなかで、他者と連帯し他者から学ぶことを通じて、自己形成をしていくことであった。
   単著   同朋福祉   同朋大学社会福祉学部   pp.65-83   2021/02


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