同朋大学 教員情報   
     


  ソノダ ヒロフミ
  園田 博文   文学部 人文学科   教授
■ 標題
  保育細案3種に見られる国語の発音指導―昭和前期台湾を中心に―
■ 概要
  昭和14年から昭和17年にかけて出版された保育細案3種(『保育細案(嘉義郡)』、『保育細案(虎尾郡)』、『国語保育園 保育細案』)と『保育読本附録 保育予定案』を資料とした。編纂趣旨等の記述から、幼児に規範的な国語を教えることを目指していたことが窺える。教わる幼児の多くが台湾語で日常生活を送っており、言語形成期初期に当たるこの時期は、第二言語教育とも母語教育とも言える側面を持っている。
 数ある言語事項の中で、特に発音上の誤りの指摘について調べた。歯茎音に関する誤用例の指摘は、先行研究によると国語講習所の細案・細目類が30%であるのに対し、保育細案3種は53%であり、典型的な例に指摘が集中している。その中で、保育細案3種では、長音に関する誤用例の指摘が16%と高くなっている。これには、「国語講習所式ノ発音、語調」というものが関係している。特にエ段長音の発音指導に関しては見解が分かれており、今後さらなる調査が必要である。
 本研究は、JSPS科研費JP21K00646の助成を受けたものである。
   単著   『閲蔵』   同朋大学大学院   16・17合併号   pp.63-82   2021/12


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