同朋大学 教員情報   
     


  ワタナベ ユキヨシ
  渡邊 幸良   社会福祉学部 社会福祉学科   教授
■ 標題
  労働問題研究の方法論 ―価値自由の2つの側面―
■ 概要
  日本の社会政策学会は、主に労働問題と政府の関与のあり方を研究対象とするドイツの社会政策学会をモデルとしてつくられた。ドイツでは歴史学派とオーストリア学派との方法論争を経験し、日本では社会政策の本質論争があった。両論争は、演繹なのか帰納なのか、純粋理論(理念型)なのか歴史・統計なのか、経済学なのか社会学なのか、やがて不毛な泥沼へと陥っていったが、社会政策を学として成り立たせていったことも事実である。そして、社会政策の本質論争の中心であった大河内理論と、労働経済論への転換を図った隅谷三喜男氏の方法論を、価値自由の2つの側面から考察した。大河内理論は「価値への自由」を避け、方法論の欠如があった。隅谷氏の労働経済論は「価値への自由」に重きを置いた帰納法であり、質的向上が図れなかった。したがって、社会政策研究には「価値への自由」と「価値からの自由」の両方が必要で、加えて複雑多岐にわたる社会問題を扱える方法論が必要である。
   単著   同朋福祉   同朋大学社会福祉学部   第26号(通巻48号)   pp.99-119   2019/02


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