教員情報   
     


  ヤマグチ マキコ
  山口 真季子   音楽学部 音楽学科   講師
■ 標題
  シューベルト《34の感傷的なワルツ》D779とマデルナによる管弦楽編曲
■ 概要
  ブルーノ・マデルナ(1920-1973)によるシューベルトの行進曲、舞曲のオーケストラ編曲(《5つの舞曲》として1968年出版)のうち、《感傷的なワルツ》D779,Op.50に基づく第4曲に焦点を当てた。《感傷的なワルツ》という独奏ピアノ用の作品を原曲とする第4曲は、原曲すべてを用いていない点、原曲からの強弱の変更やテンポに関わる指示の追加が非常に多い点で、連弾作品を原曲とする第2曲、第3曲と異なっている。
 編曲を見ていくと、原曲がツィクルスとして厳密に構成されたものではないと考えられるのに対して、マデルナは構成する各曲の調性的、音型的な関連性をくみ取ったうえで、2つの山を持った大きな1つの流れとしてこの第4曲をまとめ上げていることがうかがえる。またテクスチュアやリズムの点で互いに際立っている原曲の第29、30番に対しては、その対照性を音響的に明確にしようとしているとともに、そこにはマデルナ自身の音響空間に対する関心が表れていることが明らかになった。本研究は、JSPS科研費
JP20K12852の助成を受けたものである。
   単著   名古屋音楽大学研究紀要   名古屋音楽大学   pp.81-93   2024/03


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