教員情報   
     


  ヤマグチ マキコ
  山口 真季子   音楽学部 音楽学科   講師
■ 標題
  D.シュネーベル《シューベルト・ファンタジー》再考 :シューベルト研究の成果として
■ 概要
  ディーター・シュネーベル(1930-2018)が1978年に発表した、シューベルトのト長調ソナタD894第1楽章に基づく管弦楽作品《シューベルト・ファンタジー》について、彼がシューベルトの音楽を論じた論文をもとに、彼のシューベルト論がこの作品にどう反映されているのか、また1989年の改訂版においてどのような変更がなされ、またそこにどのような意図が見られるのかを考察した。原曲であるト長調ソナタは、シュネーベルがシューベルトに特徴的と考えた「直接的な時間の造形」や音楽的時間を具現化する「音響プロセス」としての音楽のあり方を端的に示すものといえる。《シューベルト・ファンタジー》はそれを原曲の管弦楽化と、弦楽器群による音響のベール(“Blendwerk”)の造形によって強調していることを示した。さらに1989年の改訂では原曲パートを部分的にカットすることによって彼がシューベルトの特質と考えた特徴がより際立たされていることが明らかになった。本研究は、JSPS科研費
JP20K12852の助成を受けたものである。
   単著   名古屋音楽大学研究紀要   pp.85-101   2025/03


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